宇宙や実験室のプラズマを対象に理論解析や計算機シミュレーションを用いた研究を行っています


オーロラの成長と構造変化のシミュレーション

FBI_dipole.pngオーロラは地球や他の磁化惑星の極域で見られる電磁現象です。宇宙空間から降り込む粒子(主に電子)によって、電離層中の中性原子が励起され発光します。一方、オーロラがなぜカーテン状の形状を持って発達し、またどのような機構で渦巻くような変化を見せるのか、それらの時空間構造を一貫して説明できる理論は未だ確立されていません。
 オーロラ現象は地球の磁場に影響された磁気圏プラズマの運動と密接に関連しています。これをプラズマ物理の視点から明らかにするため、地球磁気圏と電離層を結合した新しいシミュレーションモデルを構築し、その中に現れるオーロラ状構造の発達の様子を調べています。図は地球磁場に沿って細長いシミュレーション領域を設定し、そこを伝わる磁気流体波と、電離層上の密度(埋め込み図)、磁気赤道面上の渦度分布を示しています。オーロラの発達にともなってアーク構造を変形させる2次的不安定性が発生してくる様子をとらえることができています。



5次元位相空間上の乱流シミュレーション

Tokamak_GKV.jpg宇宙や核融合の高温プラズマは衝突が少なく、その速度分布関数はMaxwell分布から外れた非平衡な状態にあります。そのため実空間上に生じた揺動は、電磁場と結合するとともに、速度空間を含めた位相空間上を伝わり、通常の流体には見られない振る舞いを示します(無衝突減衰など)。衝突頻度の少なさは、同時に、乱流への遷移をより容易にします。そのため高温プラズマでは、位相空間上の乱流を取り扱う必要が生じます。
 この問題にVlasovシミュレーションと呼ばれる5次元位相空間上の分布関数を直接解析する方法でアプローチしています。左図は5次元ジャイロ運動論的Vlasovシミュレーションをつかったトーラス・プラズマの乱流渦と流れの自己組織化構造を表しています。

核融合プラズマの乱流

GKV_LHD.jpg制御された核融合反応を連鎖的に起こすために、1億度を超える高温プラズマを数テスラの強磁場で閉じ込める実験が行われています。しかし、圧力勾配などの熱力学的力をもとに不安定性が生じ、乱流遷移を経て、熱や粒子がトーラス形状のプラズマ内部から外へと漏れだします。これは「異常輸送」と呼ばれ、制御困難な問題と考えられてきました。しかし、大規模な計算機シミュレーションを用いた研究により、プラズマが自発的に形成する巨視的な流れ構造を利用することで輸送の少ない状態を外部磁場によって制御し得ることが分かりました。
 図右は乱流が発達した状態を、図左は最適な磁場分布を使った場合の流れパターンの自己組織化状態を、渦度のカラーマップで示しています。